「年のせい」の落とし穴
年をとったペットが寝てばかりになり、あまり走らず、散歩を早く切り上げたがると、飼い主はつい年のせいにしてしまいます。けれどもその多くは、関節の痛みや歯のトラブル、慢性の病気など、ケアすればよくなりうる原因から来ています。老化そのものは病気ではありませんが、老化にともなう不快さは減らせます。いつからシニアとみなすかは、種類や体の大きさによって違います。おおむね大型犬は小型犬より早く年をとり、猫も個体差が大きいものです。ペットの年齢を人の年齢にざっと換算すると感覚がつかめますが、実際にケアを始める時期は獣医師と相談して決めてください。
関節と動きの変化
関節の痛みはシニアの動物によく見られますが、声を上げて痛がることはまれです。そのかわり動き方が静かに変わります。犬は立ち上がるときに後ろ足が遅れ、猫は高い所に上らなくなり、毛づくろいが減って背中の毛が固まることもあります。次のような様子があれば痛みの可能性があるので、受診のときに必ず伝えましょう。歩く姿を動画に撮っていくと、診察室で見せるより正確に伝わります。
- 長く寝ていたあと起き上がるときにぎこちない
- 階段やソファ、車に乗るのをためらう
- 猫が高い所ではなく床で過ごす
- 触られるのを嫌がる場所ができた
- トイレの縁をまたぎにくく、外で粗相をする
感覚と認知の変化
耳が遠くなると呼んでも反応せず、寝ているときに急に触ると驚きます。近づくときは足音を立てたり、床を軽くたたいたりして先に知らせましょう。目が悪くなった動物は慣れた配置を頼りに動くので、家具をたびたび動かさないほうが安心です。年をとると、人の認知症に似た認知機能の低下が起きることもあります。慣れた家の中で迷ったように立ち尽くす、壁や隅をぼんやり見つめる、夜中に起きて歩き回りながら鳴く、できていたトイレの習慣を忘れるといった様子が代表的です。ほかの病気と症状が重なるので、受診して確かめてください。
住まいを整える
ちょっとした工夫で毎日がずっと楽になります。ポイントは滑らないこと、高く上らなくても必要なものに届くことです。一度に全部変えるとかえって混乱するので、いちばん不便そうな所から一つずつ手を入れましょう。
- よく通る場所に滑り止めのマットやラグ
- ソファやベッドの横にステップやスロープ
- 猫のトイレは縁の低いものに
- 水入れを家のあちこちに
- ふかふかで暖かい寝床と、夜につけておく小さな明かり
運動と散歩の調整
年をとっても、体を動かすことは筋肉と関節を守り、頭を目覚めさせてくれます。ただし一度に長く歩くより、短く何回かに分けるほうが負担が少なくなります。坂や階段、滑りやすい床は避け、若いころより暑さ寒さに弱いので時間帯を選びましょう。散歩の途中でよく立ち止まる、帰ってからも長くぐったりしているなら、量を減らして受診時に伝えてください。においをかぐ遊びやおやつ探しのように、あまり歩かなくてもできる活動は、体の動きにくいシニアの動物によい刺激になります。
食事と体重
シニアの動物は活動量が減って太ることもあれば、反対に筋肉が落ち、食欲が細くなってやせることもあります。同じフードを同じ量与えていても、定期的に体重を量って変化を確かめましょう。体重が少しずつ減っているなら、歯のトラブルや病気のサインかもしれません。シニア用フードへの切り替えやサプリメントの追加は、持病や飲んでいる薬によって合わないことがあるので、獣医師と相談してから決めます。硬いフードがつらそうなら、水でふやかしたりウェットフードを混ぜたりする方法があります。
薬と痛みのケア
シニアの動物は何種類もの薬を一緒に飲むことが多く、記録が大切です。薬の名前と量、飲ませる時間を書きとめ、アラームを設定しておくと、飲ませ忘れや二重に与えるミスを防げます。痛そうだからといって人の痛み止めを与えるのは絶対にいけません。人によく使われる痛み止めの中には、犬や猫にはごく少量でも深刻な害を与えるものがあり、猫は特に危険です。痛みのケアは動物用に処方された薬だけで行い、飲ませたあとに吐いたり食欲が変わったりしたらすぐに動物病院へ知らせてください。
生活の質を一緒に見る
シニアのケアは、長生きと同じくらい心地よく暮らせているかを見ることです。よく食べたか、自分で動いたか、好きだったことに関心を示したか、ぐっすり眠れたかを目安に、カレンダーにいい日とつらい日の印をつけておくと、変化が客観的に見えてきます。つらい日が増えてきたときの治療や緩和ケア、これからの選択について獣医師と前もって話しておくと、いざというときに揺らぎにくくなります。この記事は一般的な情報で、診断の代わりにはなりません。健診の間隔や治療は必ず獣医師に相談して決めてください。
🌍 検索エンジンでさらに調べる
ボタンを押すと、そのエンジンでこのキーワードを検索します